会長挨拶

日本病院ライブラリー協会は、本年、設立50周年という大きな節目を迎えることとなりました。この喜ばしい節目を迎えられたのは、共に学び合ってきた会員の皆様のたゆまぬ努力とご支援の賜物であり、心より感謝申し上げます。また、私たちの活動を長年にわたり支えてくださった関係者の皆様にも、会員を代表いたしまして、心より御礼申し上げます。

当会は、会員相互の緊密な連携と協力、そして日々の研鑽を通じて、病院図書室の向上と発展を目的に、1976年に発足いたしました。この理念は、50年を経た今もなお、私たちの活動の根幹をなすものとして受け継がれています。時代の変化に応じた知識を身につけ、互いに支え合い高め合ってきた歩みこそが、病院図書室、ひいてはそこで働く私たち自身を育ててきたのだと実感しております。

こうした研鑽と連携の積み重ねは、医療を陰で支える病院図書室という場において、日々の実践として活かされています。医療の中心には常に患者様がおり、医師や看護師をはじめとする多職種が、それぞれの専門性を生かし連携しながら、日々の医療を担っています。そうした医療従事者を支える病院図書室の使命は、信頼できる情報に、迅速で安全かつ効率的にアクセスできるよう、質の高い医療情報基盤を構築し、その維持に努めることにあると考えております。

そして今、病院図書室は新たな転換点を迎えております。いわゆる「図書室のDX(デジタル・トランスフォーメーション)」は、単なる電子化にとどまらず、図書室の機能と価値そのものを再構築していく取り組みです。これまでの“来る”図書室から“つながる”図書室へと進化し、時間や場所にとらわれることなくサービスを提供する仕組みを整えるのはもとより、情報の可視化と発信力を高め、さらに院内外の連携を深めることが求められております。日進月歩の医学・医療の世界において、図書室が果たすべき役割は多様化しており、柔軟かつ創造的に進化し続ける姿勢が一層重要になっております。

50年という年月は、決して短いものではありません。この間、多くの先達が困難を乗り越え、道を切り拓いてくださいました。その努力と知恵を継承しつつ、私たちは今、新たな50年への扉を開こうとしています。知識と実践をつなぎ、利用者の声に耳を傾けながら、病院図書室の価値と可能性を、次の世代へと確かに手渡していきたいと願っています。

今後とも、日本病院ライブラリー協会へのご支援、ご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
会長 大沼由紀子